【5分で読める】エンジニアのための ファイナンス入門 第3回 割引率の活用

【5分で読める】エンジニアのための ファイナンス入門は、全9回で構成されています。

エンジニアなどの技術系の専門職から、プロジェクトマネージャーやCTO・CIO・CDOなどのビジネスサイドにステップアップするとき、多くの畑違いの新たな学びが必要となります。

特に、財務会計のスキルは、共通言語として必須になります。

経営資源の主要な要素の一つである「資金」を「調達」し「運用」する「ファイナンス」について、図表を用いてわかりやすく概説します。

社内研修やOJT等で、十分な学習機会を得ることができなかった境遇にある場合には、是非お役立てください。

この記事の特徴

 ●「5分で読める」ような工夫に努めております

 ●「図表」を使い、わかりやすい説明をこころがけています

 ●文献や論文の「参照箇所」を明示し、品質の担保に努めています

 ●お時間のあるときに、「参照箇所」を読んで理解を深めることができます

【5分で読める】エンジニアのためのファイナンス入門|バックナンバー

 第1回 企業活動とファイナンス

 第2回 現在価値と将来価値

 第3回 割引率の活用 :現価係数 ✅今回

 第4回 CAPM :株主資本コスト

 第5回 WACC :加重平均資本コスト

 第6回 FCF  :フリーキャッシュフロー

 第7回 NPVとIRR :正味現在価値と内部収益率

 第8回 継続価値 :ゼロ成長モデルと永続成長モデル

 第9回 企業価値の算定


世の中には多くの考え方があります。

わたしたちの考えが、独善的な思い上がりに陥らないよう、一定の社会的な同意を与えてくれ、帰納的に援護してくれた言葉や内容を明示します。

「出所」とともに「参照箇所一覧」に整理いたしました。


割引率の活用

第3回は、「割引率の活用」です。

最初に、「現在地:全体と部分」を、図表でわかりやすくご案内します。

下の図をご覧ください。

今回は、割引率の活用についてご案内します。

↓ クリックして拡大

割引率を活用した現価係数の概念を可視化した図表
図表603_割引率の活用

それでは、「割引率の活用」の本題にはいります。

結論は、以下のように示すことができます。

 ●「割引率」を繰り返し使う場合は、「現価係数」を求めておくと便利です

 ●よく使う「現価係数」は、「複利現価係数」「年金現価係数」です

 ●「現価係数」は、「1÷(1+r)^n」で求めることができます

 ●「複利現価係数」は、利息の再運用を考慮した複利計算に使う係数です

 ●「年金原価係数」は、毎期一定の金額を見込む場合に活用する係数です

 ●「複利現価係数」を求めて、それらを合計することで、「年金現価係数」を導出することができます

上記の「割引率の活用」の定義について、「参照」した箇所は、以下の参照箇所一覧をご覧ください。

ファイナンスに携わるようになると、「将来価値」を「現在価値」に合わせるための「割引率」を頻繁に利用することになります。

例えば、一定期間の「資金」の推移の「現在価値」を、複数の「割引率」で検討してみるなどの場面に遭遇することになると思います。

そのような場合には、あらかじめ「現価係数」を求めておくと便利です。

「現価係数」は、「1÷(1+r)^n」で求めることができます。

具体例として、割引率10%の場合の「現価係数」は、

  • 1年目は、1÷(1.1)^1≒0.91
  • 2年目は、1÷(1.1)^2=1÷(1.1x1.1)≒0.83
  • 3年目は、1÷(1.1)^3=1÷(1.1x1.1x1.1)≒0.75

上記の数字を、「複利現価係数」と呼びます。

こうして、「複利現価係数」を求めておけば、「資金」の額が異なる複数案の検討も、スムーズにできます。

例えば、1年目100万円、2年目150万円、3年目250万円の収益が見込める案で、割引率が10%の場合の「現在価値」を検討する場合、

  • 1年目 100万円 x 0.91 = 91万円
  • 2年目 150万円 x 0.83 ≒ 125万円
  • 3年目 250万円 x 0.75 ≒ 188万円
  • 現在価値の合計は、(91+125+188)=404万円 也

上記で求めた「複利現価係数」を合計した値が、「年金現価係数」になります。

「年金現価係数」は、毎期一定の金額を見込む場合に活用できます。

例えば、1年目100万円、2年目100万円、3年目100万円の収益が見込める案で、割引率が10%の場合の「現在価値」を検討する場合、

  • 「年金現価係数」は、0.91+0.83+0.75=「2.49」
  • 現在価値の合計は、毎期100万円 x 2.49 = 249万円 也

「複利現価係数」で計算しても、「年金現価係数」で計算しても、結論は同じになります。

抽象化して考えると、

  • AxB + AxC + AxD = A(B+C+D) になります
  • Aは、毎期同じ金額
  • (B+C+D)は、「複利現価係数」を合計した「年金現価係数」

次回は、「割引率」を求めるために必要になる、「株主資本コスト」の求め方をご案内します。

今回は、これで終わりになります。

お読みくださりありがとうございました。


参照箇所一覧は、お時間のあるときにご参照ください。

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参照箇所 一覧

「ファイナンシャル・マネジメント」 ロバート・C・ヒギンズ グロービス経営大学院

■参照した主な内容
・財務諸表
・資金調達
・DCF法
・ROE、ROA、ROIC、EVA
・CAPM、WACC、NPV、IRR、FCF、ゼロ成長モデル、永続成長モデル、タックスシールド
参照 : 「ファイナンシャル・マネジメント」 ロバート・C・ヒギンズ グロービス経営大学院 

「バリュエーションの教科書」 森生明 グロービス経営大学院教授

■参照した主な内容
・財務諸表
・ROE、PER、PBR
・DCF法、EVA、FCF、NPV、IRR
・WACC、β値、CAPM
・継続価値、ゼロ成長モデル、永続成長モデル
・デュポン式
・EBITDA倍率
・コングロマリットディスカウント
・M&A、垂直統合、水平統合
・現代ポートフォリオ理論、ブラックショールズモデル
・オプション、コール、プット
・リアルオプション
参照 : 「バリュエーションの教科書」 森生明 グロービス経営大学院教授 

「管理会計の基本」 千賀秀信 日本実業出版社

■参照した主な内容
・ROE、ROA、ROIC
・CAPM、WACC、NPV、IRR、FCF
参照 : 「管理会計の基本」 千賀秀信 日本実業出版社