【5分で読める】エンジニアのための ファイナンス入門 第4回 CAPM

【5分で読める】エンジニアのための ファイナンス入門は、全9回で構成されています。

エンジニアなどの技術系の専門職から、プロジェクトマネージャーやCTO・CIO・CDOなどのビジネスサイドにステップアップするとき、多くの畑違いの新たな学びが必要となります。

特に、財務会計のスキルは、共通言語として必須になります。

経営資源の主要な要素の一つである「資金」を「調達」し「運用」する「ファイナンス」について、図表を用いてわかりやすく概説します。

社内研修やOJT等で、十分な学習機会を得ることができなかった境遇にある場合には、是非お役立てください。

この記事の特徴

 ●「5分で読める」ような工夫に努めております

 ●「図表」を使い、わかりやすい説明をこころがけています

 ●文献や論文の「参照箇所」を明示し、品質の担保に努めています

 ●お時間のあるときに、「参照箇所」を読んで理解を深めることができます

【5分で読める】エンジニアのためのファイナンス入門|バックナンバー

 第1回 企業活動とファイナンス

 第2回 現在価値と将来価値

 第3回 割引率の活用 :現価係数

 第4回 CAPM :株主資本コスト ✅今回

 第5回 WACC :加重平均資本コスト

 第6回 FCF  :フリーキャッシュフロー

 第7回 NPVとIRR :正味現在価値と内部収益率

 第8回 継続価値 :ゼロ成長モデルと永続成長モデル

 第9回 企業価値の算定


世の中には多くの考え方があります。

わたしたちの考えが、独善的な思い上がりに陥らないよう、一定の社会的な同意を与えてくれ、帰納的に援護してくれた言葉や内容を明示します。

「出所」とともに「参照箇所一覧」に整理いたしました。


CAPM:株主資本コスト

第4回は、「CAPM:株主資本コスト」です。

最初に、「現在地:全体と部分」を、図表でわかりやすくご案内します。

下の図をご覧ください。

今回は、CAPM:株主資本コストについてご案内します。

↓ クリックして拡大

株主資本コストを求めるためCAPMの概念を可視化した図表
図表604_CAPM

それでは、「CAPM:株主資本コスト」の本題にはいります。

結論は、以下のように示すことができます。

 ●「CAPM」は、「資本資産評価モデル」と呼ばれています

 ●「CAPM」は、「株主資本コスト」を算出するための理論の一つです

 ●「株主資本コスト」は、「リスクフリーレート+個別株のリスクプレミアム」で求めることができます

 ●「リスクフリーレート」は、国債などの「安全資産」のリターンが用いられます

 ●「個別株のリスクプレミアム」は、「β値x(市場全体の期待収益率ーリスクフリーレート)」で求めることができます

 ●「β値」は、株式市場の変動に対する感応度を示したもので、それぞれの個別株が独自のβ値を持っています

 ●「β値」が「1」より大きいと変動が大きく、「1」より小さいと変動が小さいことを示しています

 ●「市場全体の期待収益率」は、TOPIXの数十年間の平均リターン等が用いられます

上記の「CAPM:株主資本コスト」の定義について、「参照」した箇所は、以下の参照箇所一覧をご覧ください。

ファイナンスに携わるようになると、「将来価値」を「現在価値」に合わせるための「割引率」を頻繁に利用することになります。

ファイナンスで利用する「割引率」は、次回の「第5回」でご案内する「WACC」が一般的です。

この「WACC」を求める際に必要になる、「株主資本コスト」を求めるための理論が、「CAPM」になります。

「CAPM」は、「Capital Asset Pricing Model」の頭文字で、「資本資産評価モデル」と呼ばれています。

「CAPM」を用いて「株主資本コスト」を求めるためには、複数の「変数」が登場します。

混乱しないように、最初に「基本となる計算式」を示してから、複数の「変数」についてご案内します。

最初に、「株主資本コスト」を求めるための「基本となる計算式」を示します。

上記の「図表604_CAPM」と照らし合わせるとわかりやすいと思います。

  •  株主資本コスト 

      = リスクフリーレート + 個別株のリスクプレミアム

      = リスクフリーレート + β値x(市場全体の期待収益率 ー リスクフリーレート)

      = rf + β(rm-rf)

次に、それぞれの「変数」をご案内します。

  • 「リスクフリーレート(rf)」:国債などの「安全資産」のリターンが用いられます
     
  • 「個別株のリスクプレミアム」:「安全資産」に比べ、リスクの高い「株式市場」の中の「個別株」固有のリスク
     
  • 「β値」:「株式市場全体」の変動に対する「個別株」の感応度で、「1」を基準として「個別株」のリスクを評価します
     
  • 「市場全体の期待収益率(rm)」:TOPIXの数十年間の平均リターン等が用いられます

非上場企業の場合、株主資本コストの算定に必要な変数「株主価値」「β値」を、複数の方法で検討します。

複数の方法の例として、

  • 類似業種の有利子負債と株主資本時価の平均比率を使用する
  • 資産を時価評価して有利子負債を控除して、時価ベースの株主資本を求める
  • 複数の類似上場企業のEBITDA倍率の平均値を、対象の非上場企業のEBITDAに乗じて事業価値を算出し、そこに非事業用資産を加算し、さらに有利子負債を減算して、株主資本を推定する
  • 類似業種の平均β値を使用する
  • 複数の類似上場企業のβ値から、財務リスクを取り除いた事業リスクのみのアンレバードβ値の平均を導出し、対象の非上場企業の財務リスク(D/Eレシオ)を加味してレバードβ値を推定する

次回は、企業の「負債コスト」と「株主資本コスト」の「加重平均」の求め方についてご案内します。

今回は、これで終わりになります。

お読みくださりありがとうございました。


参照箇所一覧は、お時間のあるときにご参照ください。

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参照箇所 一覧

「ファイナンシャル・マネジメント」 ロバート・C・ヒギンズ グロービス経営大学院

■参照した主な内容
・財務諸表
・資金調達
・DCF法
・ROE、ROA、ROIC、EVA
・CAPM、WACC、NPV、IRR、FCF、ゼロ成長モデル、永続成長モデル、タックスシールド
参照 : 「ファイナンシャル・マネジメント」 ロバート・C・ヒギンズ グロービス経営大学院 

「バリュエーションの教科書」 森生明 グロービス経営大学院教授

■参照した主な内容
・財務諸表
・ROE、PER、PBR
・DCF法、EVA、FCF、NPV、IRR
・WACC、β値、CAPM
・継続価値、ゼロ成長モデル、永続成長モデル
・デュポン式
・EBITDA倍率
・コングロマリットディスカウント
・M&A、垂直統合、水平統合
・現代ポートフォリオ理論、ブラックショールズモデル
・オプション、コール、プット
・リアルオプション
参照 : 「バリュエーションの教科書」 森生明 グロービス経営大学院教授 

「管理会計の基本」 千賀秀信 日本実業出版社

■参照した主な内容
・ROE、ROA、ROIC
・CAPM、WACC、NPV、IRR、FCF
参照 : 「管理会計の基本」 千賀秀信 日本実業出版社