【5分で読める】エンジニアのための ファイナンス入門 第8回 継続価値
【5分で読める】エンジニアのための ファイナンス入門は、全9回で構成されています。
エンジニアなどの技術系の専門職から、プロジェクトマネージャーやCTO・CIO・CDOなどのビジネスサイドにステップアップするとき、多くの畑違いの新たな学びが必要となります。
特に、財務会計のスキルは、共通言語として必須になります。
経営資源の主要な要素の一つである「資金」を「調達」し「運用」する「ファイナンス」について、図表を用いてわかりやすく概説します。
社内研修やOJT等で、十分な学習機会を得ることができなかった境遇にある場合には、是非お役立てください。
●「5分で読める」ような工夫に努めております
●「図表」を使い、わかりやすい説明をこころがけています
●文献や論文の「参照箇所」を明示し、品質の担保に努めています
●お時間のあるときに、「参照箇所」を読んで理解を深めることができます
第8回 継続価値 :ゼロ成長モデルと永続成長モデル ✅今回
第9回 企業価値の算定
世の中には多くの考え方があります。
わたしたちの考えが、独善的な思い上がりに陥らないよう、一定の社会的な同意を与えてくれ、帰納的に援護してくれた言葉や内容を明示します。
「出所」とともに「参照箇所一覧」に整理いたしました。
継続価値:ゼロ成長モデルと永続成長モデル
第8回は、「継続価値:ゼロ成長モデルと永続成長モデル」です。
最初に、「現在地:全体と部分」を、図表でわかりやすくご案内します。
下の図をご覧ください。
今回は、継続価値:ゼロ成長モデルと永続成長モデルについてご案内します。
↓ クリックして拡大
それでは、「継続価値:ゼロ成長モデルと永続成長モデル」の本題にはいります。
結論は、以下のように示すことができます。
●「FCF」は、「予測可能」な期間と「継続価値」と呼ばれる予測不可能のな期間に分けて算出されます
●「予測可能」な期間の「FCF」の現在価値は、すでに「第7回 NPVとIRR」でご案内しております
●「予測不可能」な期間の「FCF」の現在価値は、「継続価値」として算出されます
●「継続価値」は、「ゼロ成長モデル」と「永続成長モデル」に大別されます
●「ゼロ成長モデル」は、「FCF」が「一定」のモデルを想定しています
●「永続成長モデル」は、「FCF」が「定率成長」するモデルを想定しています
●「予測可能な期間のFCF」と「予測不可能な期間のFCF」の現在価値の合計は、「企業価値」算定の基礎となります
上記の「継続価値:ゼロ成長モデルと永続成長モデル」の定義について、「参照」した箇所は、以下の参照箇所一覧をご覧ください。
前回までの復習になりますが、「ファイナンス」では、「将来価値」を「FCF」で求め、「割引率」を「WACC」で算出し、「現在価値」に合わせるために、「FCF」を「WACC」で割引きます。
「将来価値」としての「FCF」は、直近の数年は「外部環境」「内部環境」ともに、ある程度の「予測」は可能だと思います。
しかし、「予測可能な期間以降」も、企業はゴーイングコンサーン(継続企業の前提)として、事業が継続されます。
「予測可能な期間以降」の「予測不可能な期間」の「FCF」の現在価値は、「継続価値」として算出されます。
「継続価値」は、「ターミナルバリュー」や「残存価値」と呼ばれることもあります。
「継続価値」は、「ゼロ成長モデル」と「永続成長モデル」に大別されます。
「ゼロ成長モデル」は、「FCF」が「一定」のモデルを想定しています。
「永続成長モデル」は、「FCF」が「定率成長」するモデルを想定しています。
「ゼロ成長モデル」の「継続価値」は、「FCF÷WACC」で算出できます。
「永続成長モデル」の「継続価値」は、「予測可能期間の最終年の翌年のFCF÷(WACC-成長率)」で算出できます。
いずれの算出式も、等比数列の公式を用いて導出できます。
数学的になってしまいますので、ご興味のある方は、上記「図表608_ゼロ成長モデルと永続成長モデル」の導出過程を参考にしてみてください。また、「継続価値 等比数列」などで検索すれば多くの解説が見つかります。
こうして、「予測可能な期間のFCF」と「予測不可能な期間のFCF」の現在価値の合計は、「企業価値」算定の基礎となります。
次回は、最終回「企業価値の算定」についてご案内します。
今回は、これで終わりになります。
お読みくださりありがとうございました。
参照箇所一覧は、お時間のあるときにご参照ください。
●外部環境の大きな変化を整理したPEST分析は、ここから確認できます
●変わりゆく社会の価値観は、ここから確認できます
●ステークホルダー資本主義への転換に向けた「人・社会・経済の良循環モデル」は、ここから確認できます
●主要参考文献は、ここから確認できます
●わたしたちの活動の全体像は、ここから確認できます
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参照箇所 一覧
「ファイナンシャル・マネジメント」 ロバート・C・ヒギンズ グロービス経営大学院
■参照した主な内容
・財務諸表
・資金調達
・DCF法
・ROE、ROA、ROIC、EVA
・CAPM、WACC、NPV、IRR、FCF、ゼロ成長モデル、永続成長モデル、タックスシールド
参照 : 「ファイナンシャル・マネジメント」 ロバート・C・ヒギンズ グロービス経営大学院
「バリュエーションの教科書」 森生明 グロービス経営大学院教授
■参照した主な内容
・財務諸表
・ROE、PER、PBR
・DCF法、EVA、FCF、NPV、IRR
・WACC、β値、CAPM
・継続価値、ゼロ成長モデル、永続成長モデル
・デュポン式
・EBITDA倍率
・コングロマリットディスカウント
・M&A、垂直統合、水平統合
・現代ポートフォリオ理論、ブラックショールズモデル
・オプション、コール、プット
・リアルオプション
参照 : 「バリュエーションの教科書」 森生明 グロービス経営大学院教授
「管理会計の基本」 千賀秀信 日本実業出版社
■参照した主な内容
・ROE、ROA、ROIC
・CAPM、WACC、NPV、IRR、FCF
参照 : 「管理会計の基本」 千賀秀信 日本実業出版社