【5分で読める】 ステークホルダー資本主義 第6回 資本主義大転換の背景は?

【5分で読める】|ステークホルダー資本主義への大転換は、全9回で構成されています。

50年に一度のステークホルダー資本主義への大転換の全容を、わかりやすくご案内できるよう努めます。

全9回を読み進めるうちに、点が線に、線が面になるように工夫してまいります。

社内研修やOJT等で、十分な学習機会を得ることができなかった境遇にある場合には、是非お役立てください。

この記事の特徴

 ●「5分で読める」ような工夫に努めております

 ●「図表」を使い、わかりやすい説明をこころがけています

 ●文献や論文の「参照箇所」を明示し、品質の担保に努めています

 ●お時間のあるときに、「参照箇所」を読んで理解を深めることができます

【5分で読める】|ステークホルダー資本主義への大転換|バックナンバー

 ●第1回 ステークホルダー資本主義とは

 ●第2回 これまでの世界:利益のために何をしてきたのか?

 ●第3回 これまでの世界:利益のための活動を正当化した背景は何か?

 ●第4回 これまでの世界:利益のための活動が社会にどのような影響を及ぼしてきたのか?

 ●第5回 転換点:ステークホルダー資本主義に転換したきっかけは何だったのか?

 ●第6回 転換点:ステークホルダー資本主義への転換を後押しした背景は何か? ✅今回

 ●第7回 これからの世界:何を中心に考えたらよいのか?

 ●第8回 これからの世界:変わりゆく社会の価値観

 ●第9回 まとめ ステークホルダー資本主義の世界に向けて


世の中には多くの考え方があります。

わたしたちの考えが、独善的な思い上がりに陥らないよう、一定の社会的な同意を与えてくれ、帰納的に援護してくれた言葉や内容を明示します。

「出所」とともに「参照箇所一覧」に整理いたしました。


第6回 転換点:ステークホルダー資本主義への転換を後押しした背景は何か?

第6回は、「転換点:ステークホルダー資本主義への転換を後押しした背景は何か?」、です。

最初に、今回が全9回のなかで、どこに位置づけられるのか、「全体と部分」をわかりやすく図表でご案内します。

赤い線で囲まれているところが、今回の内容に該当します。

↓クリックして拡大

メガトレンドをPEST分析してステークホルダ資本主義への大転換を示した図(第6回)
図表01_メガトレンドPEST相関図

それでは、「転換点:ステークホルダー資本主義への転換を後押しした背景は何か?」の本題にはいります。

結論は、以下のように示すことができます。

 ●「政治」を方向付ける、「倫理・思想」が根底から入れ替わった

 ●「倫理・思想」は、「リバタリアニズム」から「コミュニタリアリズム」に転換した

 ●「コミュニタリアリズム」は、「共同体」の価値を重んじ、「リバタリアニズム」と対峙する

 ●「コミュニタリアリズム」を背景とした「経済理論」は、「共通価値の戦略(CSV)」に転換した

 ●「共通価値」は、「社会価値」と「経済価値」の両立を目指すものである

 ●「社会価値」を示す新たな指標「SDGs」「ISO26000・30414」「ESG」「BLI」等の「非財務指標」が、「政策」的に導入された

上記の結論について、「参照」した箇所は、以下の参照箇所一覧をご覧ください。

リバタリアニズムについては、「第3回 これまでの世界:利益のための活動を正当化した背景は何か?」をご参照ください。

人々が社会で活動するときの、行動や考え方の規範となる拠り所が「倫理・思想」です。

これまでは、「自由で制約のない利益のための経済活動」が、人々の行動規範でした。

「自由で制約のない利益のための経済活動」は、「人」を傷つけ、「社会」を荒廃させ、「環境」を破壊してきました。

これからは、「人と社会を中心にした共同体」を重んじる考え方に転換する、世界的な潮流が見られます。

「政治」を方向付ける「倫理・思想」が、根底から入れ替わりました。

「倫理・思想」を背景とする「経済理論」も、大きく変化しました。

「政治」によって決定される「政策」も、大きく転換しつつあります。

これまでの流れを、わかりやすく図表化しました。

下の図をご覧ください。

↓クリックして拡大

PEST分析で価値観が根底から変わりステークホルダ資本主義へのパラダイムチェンジを示している図(第6回)
図表02_パラダイムチェンジ_PEST

今回は、これで終わりになります。

お読みくださりありがとうございました。


次回は、「第7回 これからの世界:何を中心に考えたらよいのか?」になります。

参照箇所一覧は、お時間のあるときにご参照ください。

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参照箇所 一覧

「SDGsが問いかける経営の未来」 モニターデロイト

■参照した主な内容
・2011年に提唱された「共通価値の創造(CSV)」がキーワード
・「CSV」は、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が提唱した
・「CSV」経営モデルの根幹には、「社会価値」や「共通善」が据えられている
・「CSV」経営モデルは、「これまでの資本主義」の経営モデルとは抜本的に異なる
参照 : 「SDGsが問いかける経営の未来」 モニターデロイト 

「共通価値の戦略」 マイケル E.ポーター ハーバードビジネススクール教授

■参照した主な内容
・「共通価値(CSV)」の戦略は、「社会的価値」と「経済的価値」の両立を目指す
・「共通価値」モデルの設計には、「経営教育」「起業家精神」が必要
・「公的部門」には、そのような「リーダー」はいない
・成長する「地域」には、例外なく「クラスター」が形成されている
・「クラスター」は、「イノベーション」「生産性」の重要な要素である
・「地域」に「差別」があると、「優秀な人材」が集まりにくい
・「社会目的」を伴う利益は、「企業」と「地域社会」の繁栄という「好循環」が生まれる
・「持続的な利益」が生み出される、「新しい資本主義」の姿が見えてくる
・これまで資本主義を「偏狭」に考えてきたせいで、「社会課題」の解決が遅れた
参照 : 「共通価値の戦略」 マイケル E.ポーター ハーバードビジネススクール教授 

「Justice これから正義の話をしよう」 マイケル・サンデル ハーバード大学教授

■参照した主な内容
・「道徳」は、行動の意図である「動機」で決まる 「カント」
・「正義論」は、より「平等」な「社会」を実現することを支持する 「ロールズ」
・「正義論」は、「目的」や「愛着」を重視する
・「正義」には、「共通善」を考える必要がある 「サンデル」
・「コミュニタリアン」は、「共同体主義者」と呼ばれる
・「コミュニタリアリズム」は、「リバタリアニズム」と対峙する
参照 : 「Justice これから正義の話をしよう」 マイケル・サンデル ハーバード大学教授 

「共感経営」 共感経営 野中郁次郎/勝見明 カリフォルニア大学バークレー校名誉教授

■参照した主な内容
・「株主資本主義」偏重の「誤り」が確認された
参照 : 「共感経営」 共感経営 野中郁次郎/勝見明 カリフォルニア大学バークレー校名誉教授 

「ソーシャル・ビジネス革命」 ムハマド・ユヌス 経済学博士 ノーベル平和賞受賞

■参照した主な内容
・現代資本主義理論の「最大の欠点」は、「利益の最大化」が唯一の「目的」とされていること
・「欠陥」のある「経済理論」に洗脳された、「利益」という概念を振り払うこと
参照 : 「ソーシャル・ビジネス革命」 ムハマド・ユヌス 経済学博士 ノーベル平和賞受賞 

「貧困の終焉」 ジェフリー・サックス 米経済学者

■参照した主な内容
・「政治」の「目的」は、「社会の要求を満たすこと
・ジェファーソンの言葉を用いている
・「生命自由幸福の追求の権利を守るためにこそ、政府が組織された」
参照 : 「貧困の終焉」 ジェフリー・サックス 米経済学者 

「人を活かすマネジメント」 ハーバードビジネスレビュー

■参照した主な内容
・「SDGs」「ESG投資
・「人的資本」レポーティングに関するガイドライン「ISO30414
・2020年11月 米SEC(証券取引委員会) 人的資本レポート 義務化
参照 : 「人を活かすマネジメント」 ハーバードビジネスレビュー 

「これからの人事」 ハーバードビジネスレビュー

■参照した主な内容
・世界のリーダーは、「多様性」「公平性」「包摂」(DEI)を高めている
・「持続可能」な世界に向けた「パラダイムシフト」が必要
・「GDP」から「よりよい暮らし指標(BLI)」への移行などが必要
・「資本主義」250年の歴史
・「資本主義」は、たびたび「脱線」してきた
・元の軌道に戻せるかは、「公共政策」と「一般市民の努力」如何である
参照 : 「これからの人事」 ハーバードビジネスレビュー